AIと介護の、ちょうどいい関係。

AIが書類を、人は人のそばに

このごろ、ニュースでAIという言葉を見ない日はありません。
介護や福祉の世界でも「AIで人手不足を解決」といった見出しをよく目にします。
ただ、現場に足を運ぶ立場として感じるのは、期待と不安が入り混じった、なんとも言えない空気です。
今回は、AIと介護の連携がもたらす可能性について、いま考えていることを書いてみます。

AIに任せていいこと、いけないこと

私の中では、線引きははっきりしています。
記録や書類の「下書き」はAIに任せていい。でも、ケアの判断は人の領域。

これだけは、技術がどれだけ進んでも変わらないと考えています。
ケアプランも、日々の記録も、最後に「これでいい」と決めるのは、利用者さんの顔を知っている人であるべきです。AIの役割は、その判断の手前にある「白紙から書き起こす苦労」を肩代わりすること。
白紙に向かう時間が、考える時間に変わる。それだけで、書類仕事の景色はずいぶん変わります。

現場で見た、小さな変化

私たちは、連携している介護事業所の現場でAIやアプリを実際に使いながら、開発と改善を続けています。そこで見たのは、劇的な変革ではなく、もっと地味で、もっと確かな変化でした。
記録を白紙からではなく、下書きがある状態から始められる。過去の記録を探す時間が減る。
日が暮れてからの「記録タイム」が少し短くなる。一つひとつは小さなことです。でも、その小さな時間の積み重ねが職員さんの表情を変えていくのを見ると、AIの価値は派手な機能ではなく、現場の一日を少し軽くすることにあるのだと実感します。

「仕事を奪われる」という不安について

AIの話をすると、必ずと言っていいほど出てくるのがこの不安です。私は、この不安は当然の反応だと思っています。得体の知れないものを警戒するのは、大切な仕事に責任を持っている証拠だからです。
だからこそ、お伝えしたいのは「一気に変えなくていい」ということです。
まずは記録の下書きひとつ、小さく試してみる。合わなければ、やめればいい。
試してみると、AIが奪うものではなく、返してくれるもの——時間と余裕——のほうが見えてきます。

10年後に見たい景色

私が見たいのは、書類仕事が限りなくゼロに近づき、職員さんの時間の大半が、利用者さんと向き合う時間になっている現場です。AIが主役の未来ではありません。
人が人のそばにいるという介護のいちばん大切な部分が、真ん中に戻ってくる未来です。
そのために私たちは、介護書類の下書きを支援する「AI助」のような道具を、現場の声を聞きながら育てていきます。AIと介護の「ちょうどいい関係」を、金魚のまちの片隅から探していきます。

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